2017.10.04
こんにちは歯科衛生士の天野です。
今回は誤嚥性肺炎についてお伝えします。
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは、日本においては吸入性(きゅうにゅうせい)肺炎や誤飲(ごいん)性肺炎、吸引(きゅういん)性肺炎と呼ばれているものです。飲食物や胃の内容物が食道を逆流したものなどが誤って気管や気管支に入り込んでしまい、肺のなかで細菌が繁殖することにより炎症が生じ、発症してしまう肺炎のことをいいます。
数ある肺炎のなかでも、吸入性肺炎は高齢者がかかりやすいのが特徴で、高齢者に引き起こされる7割以上の肺炎は、誤嚥との関わりがあると指摘されているほどです。また、吸入性肺炎はいったんよくなったとしても、再び引き起こされてしまうことが珍しくありません。誤嚥性肺炎を繰り返すことにより薬の耐性を備えた菌が繁殖し、治療効果を得ることができなくなった結果、命を落としてしまう高齢者もいます。
誤嚥性肺炎の原因
誤嚥性肺炎は、飲食物が誤って気管や気管支へと入ってしまい、さらには肺のなかに達し細菌が繁殖、炎症が起こることで発症します。
この場合、口腔内の粘膜に細菌の巣が存在し、細菌がいる唾液などの分泌物と一緒に飲食物が気管や気管支に入り込んでしまうのが特徴です。
また、胃のなかにある飲食物と一緒に胃液が食道を逆流したことが原因となって、誤嚥性肺炎が引き起こされるケースも少なくありません。
なお、このケースでは夜の眠っているあいだに胃食道逆流が起こることが多いのですが、胃の内容物に含まれている酸や消化液により気道の粘膜が損傷を受け、発症するのが特徴です。
それから、吸入性肺炎になると損傷した気道粘膜の完治が難しくなり、感覚鈍くなります。
そうなると誤って気管支に内容物が入り込んでも咳が出ず、内容物を上手く排出できなくなるため、さらに発症リスクが大きくなってしまいます。
誤嚥性肺炎の症状
発熱、咳、痰、息苦しくといった症状が吸入性肺炎では起こりますが、高齢者の場合は症状を訴えないケースが少なくありません。
そのため、吸入性肺炎の兆候を見逃さないことが、早く適切な治療を受けるためには大切です。
たとえば元気がない、だるい、食事の時間が長い、食事の最中にむせこむ、痰が濃い、唾を飲み込めないといった場合には吸入性肺炎を疑いましょう。
また、症状が強い場合は激しい咳、高熱、濃い痰の増加、呼吸が苦しくなるといったもののほか、酸素低下による重度の呼吸不全に陥るケースもあります。
吸入性肺炎の検査・診断
誤嚥性肺炎かどうか調べるためには、胸部X線検査のほか喀痰培養検査がおこなわれます。
これらの検査により動脈血酸素飽和度をチェックしたり、病気の原因となっている菌を探ります。
また、診断の精度は気管支鏡による気管内採痰を選択することが可能な場合は高まりますが、患者の病状がおもわしくないケースが珍しくないことから、誤嚥性肺炎の原因菌の同定が困難なケースも珍しくありません。
誤嚥性肺炎の治療方法
誤嚥性肺炎のおもな治療方法としては、薬物療法が挙げられます。
病気の原因となっている菌に対して抗菌薬を使用し、殺すことによって回復を目指すのです。
なお、誤って気管内に飲食物が入り込んでしまわないように対策を徹底しないと、発熱の症状が治まらず、抗菌薬による治療が長引いてしまうことになります。
誤嚥性肺炎の予防方法
口腔内の雑菌を除去するため正しい歯磨きを毎日おこなったり、高齢者の場合は嚥下反射をよくするため、歯茎のマッサージをほどこすと予防に効果的です。
また、食後すぐに横になるのではなく、2時間座った姿勢でいることも、胃内容物逆流の防止になり、吸入性肺炎予防につながるでしょう。
そのほか、薬による予防方法が選択されることも珍しくなく、使用される薬としては嚥下反射や咳反射をよくする脳梗塞予防薬、アマンタジンや、咳反射亢進の効果が見込める降圧剤のACE阻害薬を挙げることができます。
季節や気候も関係あるかもしれませんが日頃からの生活習慣を気をつけたいものですね